接着剤の種類と特徴
投稿日:2015/9/20
接着剤Q:接着剤の種類・特徴
A:接着剤と補修材とがあります。
接着剤
水性型接着剤
もっとも使いやすく、合成樹脂を水に混ぜ合わせた接着剤。
【良点】手や服についても水で洗い落とせる・固まるとほぼ透明になる
【悪点】固まるまでに時間がかかる・水にぬれるとはがれやすい
合成ゴム系、溶剤形接着剤
速く乾いて、強くつく。合成ゴムなどを揮発性液体(溶剤)で溶かした接着剤。
【良点】固まるまでに長時間押さえる必要がない・接着層が柔らかく、衝撃を受けてもはがれにくい
【悪点】接着剤の汚れを水で洗い落とせない・有機溶剤を含み、吸うと身体に悪い
瞬間接着剤
急ぎの接着なら・・・わずかな水分と反応して、すばやく固まる接着剤。
【良点】数秒から数分で接着できる・スーパー液(硬化促進剤)との併用で、さらに速く接着できる
【悪点】指と指など瞬間的に接着するため、注意が必要・衣類に大量につくと、発熱してヤケドをしやすい
補修材
エキポシ樹脂系接着剤
水や熱にも強い、A剤とB剤を混ぜると化学反応をおこして固まる。固まるスピード別に1分型、5分型、30分型などの種類がある。
【良点】水・熱・寒さ・化学薬品に強い・充てん剤としても使える
【悪点】接着部分が固くなるため、布・紙・皮には使えない・一定の時間内に作業を終える必要がある
Q:接着剤の主な用途
A:用途に合わせて使用してください。
水性形接着剤
○木工作・木部の接着に。
○紙工作・紙の接着に。
合成ゴム系接着剤
○ゴム、布、金属など幅広い材料の接着に。
○異種材料の接着に。
瞬間接着剤
○金属、硬質プラスチックなどの短時間での接着に。
エポキシ樹脂系接着剤
○金属、陶器などの接着に。
○スキ間の充てん補修に。
○コンクリート、モルタルの接着に。
○石材の接着に。
○木部(特に屋外での耐水性の必要とする時)の接着。
Q:接着剤の選び方
A:接着する材料にあった接着剤を選んで使ってください。
同じ材料同士を接着するなら
パッケージに【~用】と書かれた専用接着剤を。
木と鉄など種類の違う材料の接着には
用途の広い接着剤または、パッケージに材料名がいろいろ表示されている接着剤を。
金属を強力に接着したいのなら
エポキシ樹脂系接着剤を。
<直したい所・部分で使い分ける>
家の中(壁・柱・家具・置物など)の
はがれ・折れは合成ゴム系接着剤・エポキシ樹脂系接着剤
カケ・割れは合成ゴム系接着剤・エポキシ樹脂系接着剤
スキ間・穴は水性アクリル樹脂系充てん剤
浴室の水もれ、タイルのはがれには(※とくに水や熱に強いことが大切)
シリコーン系の充てん剤か、エポキシ樹脂系充てん接着剤を。
家の外(屋根・外壁・堀など)の
ひび割れ・スキ間・穴はシリコーン系,ウレタン系、ブチルゴム系の充てん剤
表札のはがれなどには二液型エポキシ樹脂系接着剤
Q:接着剤の使い方、注意事項
A:説明書をよく読み正しく使ってください。
①説明文を必ず読む
商品を使う前に、説明文と注意を必ず読みましょう。接着するうえでの大切な情報が書いてあります。
②作業に必要な道具を用意する
紙ヤスリ
接着前の下地処理用と、充てん補修後の表面仕上げ様に。
塗料うすめ液・消毒用アルコール
接着する面についている油や離型剤の落としに。
ゴム手袋
エポキシ樹脂系接着剤やシーリング材は皮膚につくとかぶれることがあるので、必ずゴム手袋をつけて作業をしましょう。
マスキングテープ
ひび割れなどの回りにはっておくことで、充てん剤のはみ出しによる付着を防ぐテープ。セロハンテープでも代用できます。
ヘラ
充てん剤をスキ間にうめ込んだり、充てん後に表面を平らにならすために必要。プラスチックスプーンなどでも代用できます。
固定具
接着剤が完全に固まるまで押さえておくために必要。軽い物や小物ならセロハンテープを、タイルやプレートの固定には粘着テープを使うといいでしょう。
Q:接着剤を塗る前、下準備のポイント
A:接着剤がいやがるゴミ、ホコリ、サビ、油、水分等をよく拭き取ってください。
ゴミ、ホコリ
乾いた布でふき、落ちにくい場合は、消毒用アルコールやベンジンでふき取ります。
サビ
目の粗い紙ヤスリ(#80)やワイヤーブラシでこすり落とします。
油
消毒用アルコールやベンジンでふき取ります。
離型剤(りけいざい)
(※プラスチックやゴムの表面についています)接着部分に紙ヤスリをかけ、消毒用アルコールでふき取ります。
塗料の膜・メッキ
紙ヤスリやワイヤーブラシで落とします。
水分
木やコンクリートは水分を多量に含んでいることがあるので、よく乾燥させておきましょう。
その他
接着する面がデコボコの場合は、紙ヤスリで平らにしておきます。
※平らにできない物は、エポキシ樹脂系接着剤か、充てん接着剤で接着してください。
ただし、割れたものを直すときは、紙ヤスリをかけず、そのまま接着してください。
Q:接着剤の塗り方のポイント
A:接着面全体に薄く塗ります。
接着面全体に薄く塗る
厚く塗ると乾きが遅くなるうえ、接着力も弱くなります。
※木材の木口面、素焼きの製品、コンクリートなど、接着剤をよく吸い込むものには多めに塗りましょう。
テープで、はみ出しの汚れを防ぐ
ひび割れやスキ間をうめる場合は、マスキングテープやセロハンテープを回りにはっておきます。
※テープ類は作業後すぐにはがしてください。
瞬間接着剤は塗り広げない
容器の先で塗り広げると、口元が固まりやすいので注意。必ず接着面から離して1滴たらし、接着する材料で押し広げながらはり合わせます。
※たらしすぎると、はみ出して白く固まったり、固まる時間が遅くなるので注意してください。
スキ間や穴をうめるには
充てん剤のチューブの口を、差し込むようにしてしぼり出します。
大きなひびや穴は、パテ状の充てん剤や接着剤をヘラですり込みます。
Q:はり合わせ方のポイント
A:出来るだけ接着面積を広くとるようにしてください。
接着面積は広くとる
接着面積が大きいほど外からの力(折れ・曲げ、引っ張る力)には強くなり、メガネフレームのような細いものでは反対に弱くなります。接着面積を広くとるには次の方法で。
そぎつぎ
接着面をななめに切ってつなぐ
片面そえ木
そえ木をする
重ねつぎ
両面そえ木
<すぐにはってはいけない場合>
ほとんどの接着剤はすぐにはり合わせてかまいませんが、合成ゴム系接着剤は、接着する両面に塗り、5~10分後(20℃の場合)にはり合わせます。
※合成ゴム系接着剤の場合、はり合わせるタイミングのめやすは、接着剤をヘラでさわってもつかないくらいに乾いているかどうか。
すぐにはり合わせしてしまうと固まる時間が遅くなります。でも、乾かしすぎてもいけません。
Q:はり合わせからあとのポイントについて
A:接着剤が固まるまで、一定の力で押さえておくようにしてください。
固まるまで時間のかかる木工用接着剤、エポキシ樹脂系接着剤などは、必ず一定の力で、24時間(20℃)押さえておきます。
<手軽な方法>
電話帳などの重い本をのせる
丈夫なヒモでむすぶ
粘着テープで固定する
日当たりのいい場所や、暖かい場所に置きます。
寒い時期、雨の日には、ヘアドライヤーで接着部を温めます。
【確実な方法】クランプ(まんりき)で締めつける
Q:接着剤をはがすとき
A:接着剤や補修材か皮膚、服、机などについてしまったら、「必ず接着剤が固まる前に落とすこと」と、「接着剤の種類によって水や溶剤を使い分けてふき取ること」が大切。乾く前と乾いてからでは、落とし方が違う場合があるので注意しましょう。
のり
水、お湯で洗う
水性形接着剤
【乾燥前】水、またはぬらした布でふき取る。
【乾燥後】お湯で柔らかくしてからこすり落とす。
合成ゴム系溶剤形接着剤
【乾燥前】ベンジンや塗料うすめ液でふき取る。
【乾燥後】紙ヤスリや砂入り消しゴムでこすり取る。
エポキシ樹脂系接着剤
【固まる前】塗料うすめ液でふき取る。
【固まった後】不可能。
瞬間接着剤
【固まる前】ボンドアロンアルファ用はがし液や塗料うすめ液でふき取る。
【固まった後】お湯の中でもみほぐす。またはボンドアロンアルファ用はがし液かマニキュアの徐光液で柔らかくして落とす。
シリコーン系充てん剤
【固まる前】塗料うすめ液でふき取る。
【固まった後】カッターナイフでそぎ取る。
注意
いったん硬化した接着剤・補修剤には、その性質上取り除けないものがあります。とくに衣類にしみこんで固まった場合には取り除けません。
瞬間接着剤で指と指を接着してしまった場合には、絶対に無理に引きはがそうとせずに、瞬間接着剤用はがし液を使ってください。
時間はかかりますが、お湯の中でゆっくりもみほぐしてもはがせます。
瞬間接着剤用はがし液や塗料うすめ液は、素材を傷める場合があるので必ず目立たない部分で確認してから使ってください。
Q:充てん剤の種類、特長、用途、使い方
A:特長をよく見て選んでください。
水性アクリル樹脂系充てん剤
【良点】硬化前なら水で落とせる・塗料がある
【悪点】常に水のかかる場所には使えない・肉やせが大きい
ブチルゴム系充てん剤
【良点】金属によく密着し、金属の伸び縮みに追従する・水、熱、寒さに強い
【悪点】塗料がのらない・幅の広い目地には適さない
油性系充てん剤
【良点】壁面でもタレにくい・水をよくはじく
【悪点】塗料がのらない・熱、油、溶剤のかかる場所には使えない
ウレタン樹脂系充てん剤
【良点】伸縮性に優れる・塗料がのる
【悪点】紫外線による変色や亀裂が生じやすい
シリコーン系充てん剤
【良点】水、熱、寒さに強い・防カビ剤入り
【悪点】塗料がのらない
※水槽や台所回りには、防カビ剤を含まないものが必要
変成シリコンコーク系充てん剤
【良点】肉やせしにくい・塗料がのる
【悪点】日光のあたるガラス目地には向かない
Q:充てん剤の主な用途
A:用途に合った充てん剤を選んで使用してください。
水性アクリル樹脂系充てん剤
○モルタル外壁のひび割れ補修。(常に水のかからない軒下など)
○木質床と壁面のスキ間補修。
ブチルゴミ系充てん剤
○トタン屋根、排気管の補修。
シリコーン系充てん剤
○浴室、洗面所の水もれ防止。
○外壁のひび割れ補修。
油性系充てん剤
○瓦屋根、外壁の補修。
Q:シリコーン系充てん剤の使い方
A:充てんする前準備が大切です。汚れをよく取り除いてください。
施工箇所の清掃
充てんする箇所の油、ホコリ、サビなどの汚れを取り除き、よく乾燥させてください。
マスキングテープを貼る
周辺部の汚れを防ぐために、粘着剤のついたテープを充てんする目地の際に沿ってはってください。(このとき、テープを取りはずす時に粘着剤が残らないようなテープを使用してください。)
プライマーを塗る
必要に応じてプライマーをハケで均一に塗り、十分に乾燥させてください。このとき乾燥時間は30分以上おいてください。
充てん剤の準備
ノズルの先端も目地の大きさに合わせてナイフ等で切ります。カートリッジ型の場合はドライバーなどで防湿膜を破り、カートリッジガンに装てんします。
充てん
充てん作業の時は気泡の入らないように注意し、目地のすみずみまで充てん剤を充てんしてください。
仕上げ
ヘラやナイフなどを使い、充てん剤を内部へ押し込むようにして表面を均一に仕上げてください。表面硬化速度が早いので、なるべく早めに仕上げてください。完全硬化までは1時間位かかります。
マスキングテープの除去・清掃
ヘラ仕上げ後、直ちにマスキングテープを除去してください。
最後に使用した充てん剤や器具などの清掃を行なってください。
※取扱い上の注意
・不要部分に付着した場合は早めに布などでふき取り、皮フに付いた時は、よくふき取った後、石ケンと水で洗い落としてください。
・ご使用前に容器に記載の説明文を必ずお読みください。